フラメンコその魅力

フラメンコの魅力・楽しさ

スペインは約800年もの間、イスラム勢力に統治されていたことがあり、特にアンダルシアは、グラナダのアルハンブラ宮殿、コルドバのメスキータ等の建築物といい、 そこに暮らす人たちの顔立ち・容貌といい、イスラムの影響を色濃く受けている土地です。
その昔、流浪の民ヒターノ(ジプシー)は、インド北西部から流れてきて、スペインのアンダルシア地方に終の棲家を見出しました。
そして、アンダルシアに伝わる音楽を、ヒターノたちの独自の音楽に取り入れながら、フラメンコを作り出しました。
ヨーロッパの中のスペインという国のものにも関わらず、フラメンコには、どこかエキゾチックなイメージがあるのはそのためだと思われます。
顔立ちも、肌の色も違い、独自の慣習を持ち、混血を嫌うヒターノは、かの地で孤立し、忌み嫌われ、迫害を受け、虐げられた存在でした。
その嘆き、哀しみ、心の叫び、苦しい想い、時には喜びを歌に込め、歌われ、フラメンコは発展を遂げてきました。
日本では、フラメンコの主役は踊りと思われていますが、フラメンコの華は「カンテ(歌)」です。
その歌に合わせてギターが演奏し、その歌を盛り上げるために、手拍子(パルマ)をし、さらには足で床を踏み鳴らし(サパテアード)、歌を盛り上げます。
フラメンコの踊りを習おうという人にとって、フラメンコは『ダンス』というジャンルの一つで、バレエやジャズダンス、社交ダンス、HIPHOP、ベリーダンス、フラ ダンスといったダンスの中から、たまたまフラメンコが気になって始める人が多いと思います。
しかしながら、フラメンコの踊りには、いわゆるダンスの要素だけではなく、足でリズムを刻み、手を叩き、歌・ギターを盛り上げるパーカッション(打楽器)的要素 も加わります。
レッスンでは、ダンスを習いながら、ドラムなどのパーカッションを習うような楽しさも同時に味わえます。

そのようなフラメンコの舞踊ですので、柔軟で、しなやかな身体を存分に使うことが得意な踊り手は、 身体使いの美しさで観客にアピールし、リズム遊びの得意な踊り手は、身体は必要最小限しか使わずと も、小気味の良い足のリズムで観客を魅了するなど、表現方法の幅広さはフラメンコ舞踊の魅力の一つ で、得意・不得意、好みによって、自分の踊りのスタイルを探求していく楽しさもあります。

フラメンコは、CDなどの録音された音源ではなく、ギター、カンテなどの生演奏と共に踊ります。
演奏速度のコントロールは、踊り手がします。
ゆえに、踊り手は指揮者といわれています。
次の展開がどうなるかは、踊りで合図を出し、バックを引っ張っていきます。
その合図が分かりにくければ、カンテ、ギター、踊りで構成されるフラメンコは成り立たなくなってしまいます。
簡単なことではありません。
録音された音源以上に、生演奏で踊ることは難しいことですが、舞台の上で言葉を使わないものの、踊りの合図 を通じて、人間同士のコミュニケーションがなされるので、録音された機械の音と共に踊るのと違い、ギター、 カンテからも力をもらい、踊りに、パワフルで味わい深さが増すのはフラメンコの楽しさの一つです。

また、踊りは、ヒターノたちの喜怒哀楽を表現した歌を、全身を使い、踊ることで表現します。 ゆえに、フラメンコの踊りは、人生の苦しみや喜びなど、生身の人間のむき出しの感情を表現するものとなっています。 平和で豊かな日本に暮らしていても、表に出さずに飲み込んでしまった言葉や、笑顔の裏で抑圧されてしまった想いなどはあると思います。 迫害を受け、抑圧されていたヒターノの叫びを踊りで表現することは、自分の中でくすぶる言葉や想いを昇華させる一つの手段でもあるような気がします。 舞台の上では、自分が思っている以上に感覚は研ぎ澄まされていきます。 そんなところだからこそ、飲み込んでいた言葉や感情に出会い、自分という人間の弱さや、時には強さを知ることもあります。 それは、ただ何となく送っている日々の生活では、中々出会えないものであったりします。

フラメンコの踊りは日本舞踊などと同じ、民族舞踊の一つです。
それ故、スペイン人のちょっとした仕草や態度が踊りに出てきます。
文化が遠いので、スペイン人、はたまた欧米人には普通のことで、習わずともできることが、日本人には難しいこともいっぱいあります。
それは踊りというより、目線であったり、歩き方であったり、意識して行わないところだったりします。
しかしながら、スペイン人のフラメンコを観たり、習ったり、可能ならスペインに行ってみたりして、スペインに触れることで、ちょっとずつでも踊りで表現できるよ うになっていくと思います。
踊っている時だけは、普段とは違った自分に変われるのも魅力の一つかもしれません。

このように、フラメンコ舞踊には様々な魅力があります。
その一つだけでも追求したら難しいのに、これだけあるので、簡単にはできません。
でも、簡単でないからこそ、楽しかったりします。
是非、フラメンコに触れ、その楽しさを実感してみて下さい。

フラメンコその魅力

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