振りを削ぎ落す

(03)舞踊団公演

発表会にも公演にも、
客席にはお客様がいらして下さる。
お客様はお客様なのですが、
発表会というのは、実のお客様は、舞台の上にいる生徒さんたちです。
発表会は、生徒さんたちの日頃の練習の成果をご披露する為の会です。
だから、生徒たちは習ったものを披露します。
それが、公演全体で3時間になろうと、
お客様は生徒さんの知人・友人・ご家族等なので、
「ちょっと長いけど我慢してね。
生徒さんたちが頑張って覚えたものを
全部踊らせてあげたいから」
っていうのを受け入れて頂いております。

 

 

一方の公演は、本当にお客様がお客様です。
舞台の上で踊ってるのが生徒であろうと、
生徒が楽しむのが第一目的の舞台ではなく、
お客様に楽しんで頂くのが第一目的です。
公演全体で3時間にもなってしまうと、
本当のところは見ている人はキツイ。
私もお呼ばれして、
よそ様の発表会を観に行くことがありますが、
2時間を超えると集中力も切れてきて、
舞台の上の面白いものよりも、
長く椅子に座り続ける苦痛の方が気になってきます。
フラメンコが好きで、他所の発表会に行けば、
「勉強になるなぁ」
と仕事半分の私ですらそうです。
フラメンコを知らず、
それを見たところで自分の仕事に活かす訳でもない人からしたら、
長い公演は苦痛以外の何ものでもない。
公演と銘打ったからには、
「ちょっと長いけど我慢してね。
生徒さんたちが頑張って覚えたものを
全部踊らせてあげたいから」
っていうのを無理無理受け入れて頂く訳にはいきません。
どんなに面白いものを作っても、
上演時間が長くなることで、
その面白さが半減してしまうなら、短くせねばならない。
長い振付は無用の長物になる。
となると、
生徒に教えたものを全て舞台に上げることができません。
今回は、物語のあるところにフラメンコを絡めて行くので、
物語の展開上、ちょっとのシーンで足りるものは、
例え習った振りが10分を超えていようとも、
場合によっては3分にカットすることもあり得ます。
10分の振りを習ったら、
たとえ、それが舞台の流れの中で間延びしようと、
10分の振りを舞台で披露することができるのが発表会。
10分の振りを習っても、
それが舞台の流れの中で間延びするなら、
間延びしない長さにカットされるのが公演。
発表会と公演では、フォーカスするカスタマーが異なります。
それと、タブラオとテアトロの性質の違いもあります。
スペインから招集したような優秀な踊り手が踊ろうと、
タブラオで踊るような振付・構成のものを、
ただツラツラと連ねただけではテアトロの舞台は面白くありません。
それはコンクールとか発表会のやることです。
テアトロの舞台というのは、1曲の流れ以上に公演全体での流れが重視されます。
公演全体の流れの中で、
10分も踊るような見応えのあるものが必要なシーンもあるし、
3分で済むようなものもある。
10分習ったものなら10分踊りたいと思うのが踊り手の心情。
長く踊れば、自分のあらゆる面をいっぱい披露でき、
お客様に感動していただけると誤解してしまうのも踊りの心情。
けれども、公演全体の流れを見て、
10分もいらないと思ったら、カットするのは演出家の仕事。
長けりゃいいもんじゃない。
 

 

今、自分の振りも、大幅にカットしています。
タブラオじゃないので10数分も踊る必要がない。
新人公演は7分半っていう制限時間があるのですが、
ご覧になった方はお分かりになると思いますが、
7分半でも十分見せることができます。
次から次へと踊り手が出てきて、
公演全体で3時間近くあって、座ってることに疲れてくると、
7分半でも長いなって感じることもあります。
それが10分以上あったら、お客、死ぬ!
ダラダラと長いよりも、7分半に凝縮した方がいい。
ってことで、公演用にそぎ落としているのですが、
やっぱり自分の振りには愛着があるので、
どこをそぎ落としたらいいのか分からない(>_<)
ふぇ~ん。
これも産みの苦しみです。
 

 

生徒さんたちにもとりあえずは丸々の振りを付けました。
最初から公演用じゃ、生徒さんたち、後々使えないけど、
丸々の振りを上げたので、タブラオでも踊れます。
なので、皆さんに差し上げた振りを、これからそぎ落としていきます。
習ったものを全部踊る訳じゃないのね。
その辺をご理解下さい(^^)/

 
 

目標は、
1部と休憩と2部とカーテンコールを含めて2時間以内!
今のところ難しい感じ。
でも、挑戦してみます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。