【舞踊団公演】タンゴ・売られた花嫁

(03)舞踊団公演

白蓮の兄は、婚家から出戻ってきた妹を、家の恥だと思い、家に閉じ込めてしまいます。

軟禁です。

そんな状態が10年近く続いたそうです。

でも、ずっと家に置いておく訳にもいかないと思い、妹の再婚相手を探してきます。

ただ、『キズモノ』の女が嫁げる先は、初婚の時に比べて条件が落ちます。

現代だったら、そんな発想しようものなら、そんな扱いを女性にしようものなら、「セクハラ」で訴えられるようなことが、この時代はまかり通ってました。

男は妾を囲ってもいいけれど、女が夫以外の男と通じることは、姦通罪で訴えられ、女も間男も牢屋に入れられてしまう時代でした。

それを思うと、たかだか100年程度で、女にとって良い時代になったと思います。

そんなセクハラ、ど真ん中ストライクのお兄ちゃんが探してきた相手は、

『九州の炭鉱の町』の『一炭鉱夫から成り上がった』『無学』の炭鉱王・伝右衛門でした。

〇都会から離れたど田舎→左遷、島流し

〇一炭鉱夫からの成り上がり→どこかの馬の骨

〇無学→無教養の馬鹿

という三拍子揃った、当時の華族出身のお姫様が到底相手にしないような相手でした。

「そこまで下げないと、妹の相手はいないのか?」と思う程です。

ただ、妹の価値が低いから、格下の相手を探してきたというより、どうやら、兄は伝右衛門の『お金』に目がくらんだようです。

当時の華族は、家柄だとか、血筋だとかにプライドをもち、えらく高いお鼻をお持ちだったようですが、金回りは悪く、貧乏だったようです。

例えば、音楽に長けているとか、ものすごく別嬪だとか、頭がいいとか、商才があるとか、人望があるとかは、その人の持って生まれた才能ですが、『家柄がいい』というのは、別に才能じゃない。

ただ、そこに生まれただけのことで、自慢できるものでもない。

だから、そんなので天狗になってる人がいたら、今の時代なら、

「へぇ、生家はご立派なんですね。で、あなたは何ができるんですか?」って鼻で笑われます。

私は、よっぽど、伝右衛門の方が尊敬できます。人格者だと思います。

だって、何もないところから這い上がって、高い地位まで上り詰めるなんて、元々良いところに生まれた人以上に努力しただろうし、商才がなければ商売は成功しないし、人望がなければ人はついてこないから大きいことはできないだろうし、この人の才能はとてつもない。

でも、当時の華族は伝右衛門を見下した。

『小学校もまともに行ってなくて読み書きもできない、ど田舎の成金』としか思ってなかった。

だから、妹を嫁がせる代わりに、貧乏貴族である白蓮の実家への資金援助を要求します。

伝右衛門が稼いだ金がなければ生活できない人たちが、伝右衛門を見下すこと自体が、今の私からするとありえない。

相手に感謝もせず、「良い血筋の妹を嫁がせたのだから金よこして当然」っていうような人間性だから、色々なことが上手く回らなくなる。神様はいるのさ。ちゃんと見ている。


一方の伝右衛門も、自分に足りないものは、『家柄』だと痛感してました。

華族と親戚関係にある=『信頼に値する』とみなされていたようで、商売をする上でプラスになる。


兄も、伝右衛門も、計算が働いた。

白蓮と伝右衛門の結婚は、二人にとって利害関係が一致していた。


そうやって、男たちの思惑に左右され、白蓮の結婚は決まりました。


当時の時代の女性たちにとっては、珍しいことではありませんでした。

2曲目のタンゴは、白蓮の兄・忍さんと、伝右衛門・ドミンゴのパレハです。



『出世』『名誉』『金』の為に、女を道具として扱う男たちのいやらしさを、

笑いを交え、コメディカルに二人が演じます。

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