【舞踊団公演】ソレア・ポル・ブレリア・憂さ晴らしの世間とパニックの兄

(03)舞踊団公演

白蓮が伝右衛門の元を去り、恋人・龍介の元に走っただけでも衝撃的なことなのに、なんと白蓮は、伝右衛門への絶縁状を新聞に掲載してしまいます。
絶縁状を新聞に掲載する案は白蓮のものではなく、龍介とその友人の入れ知恵でした。
姦通罪があった時代、女性が夫以外の男と通ずることはお縄頂戴になるような罪でした。
龍介とその友人たちは、白蓮と龍介が牢屋に入らないで済むように知恵を絞った結果が、絶縁状を新聞に掲載し、白蓮の置かれている立場を世に広め、世間を味方につけようという作戦でした。

ただ、それは当てが外れます。

こんな恥をさらされ、伝右衛門はどうしたかというと、伝右衛門は黙りました。
夫である白蓮を訴えれば、彼女とその相手の男を牢屋につなぐこともできましたが、それもしませんでした。
周囲の人が、白蓮に危害を加えるかのことをほのめかしても、
「一度は女房だった女だ。一切の手出しは無用!但し、金輪際、あの女の名前は俺の前では言うでない」
と言い、周囲の人も黙らせました。
なんて、立派な人なんだろう。
なんて、男気のある人なんだろう。
そして、あまりにも伝右衛門の態度が立派なだけに、白蓮の側に批判の声が集中しました。

今の眞子様の結婚についても、なんでそんなに批判的なのか不思議に思う程過熱している。
結婚する際に一時金が出ると聞けば、「税金なのに!」と騒がれ、じゃあ、一時金を辞退する言えば、「どうせ親から金がまわるんだろ!それも税金じゃないか」と騒ぎ、何をやっても、批判されています。
眞子さんからしたら、もうウンザリってところでしょうに。
皇族に生まれたから恵まれていると捉えられ、羨まれ、批判されるというのは随分と気の毒だし、
好きになった女が皇族の人ってだけで、自分の家の恥を新聞や週刊誌に掲載されるお相手の人も気の毒だ。
髪型くらい、好きなのにさせてやれよって私なんぞは思っちゃったりする。

身分のある人、恵まれた人、普通と違う人は、
存在するだけで、普通の人たちのやっかみの対象となり得る。

「ずるい」
という想いはすごく強い。

「ずるい。白蓮はずるい」
そんな想いが世間にはあった。
だから、ちょっとしたことでも、彼女を批判できるネタがあるならば、その批判は過熱した。
今の眞子様のように。

「引きずり下ろせ。
自分たちより上にいる、恵まれたヤツを引きずりおろせ!」

下を経験したことのある、下から上にのし上がった人へのやっかみより、
最初から上にいる人へのやっかみは強い。

「ただ、華族に生まれたってだけで、最初から上にいるあいつを引きずりおろせ!」

白蓮は世間を味方につけるどころか、敵に回してしまった。
そして、その矛先は、白蓮の実家の家長である兄にまで飛び火した。

兄は、貴族院議員でした。
今の参議院ですが、当時は元華族とか、そういう身分の高い人が議員となった貴族院。

妹の失態により、兄は引責辞職にまで追い込まれます。
「白蓮を伝右衛門の元へ返せ!」
「さもなければ、髪を落として尼になれ!」
という世間の声を兄は無視することができなくなり、妹・白蓮を龍介から引き離し、実家に幽閉させてしまいます。

世間というのは、一人一人は力を持たない『へのへのもへじ』さんですが、束になると怖い。

駆け落ちをすると決めるまでに葛藤があった白蓮は、いざ実行に移す頃には覚悟は決まっていた。
けれども、兄からしたら青天の霹靂な上に、責任者としていきなり批判の対象となってしまい、覚悟どころか、何がなんだか分からないままに巻き込まれてしまい、パニックになったことでしょう。

パニックに陥り、世間の標的になる兄役を坂井忍が演じます。

前作では怨霊だった群舞。
鬱憤が溜まっていて、何かをきっかけにその憂さ晴らしとばかりに誰かを標的にし、批判をし、人の足を引っ張り、相手の人生までも変えてしまうってことまでやってのける、匿名の民衆の怖さを今回の群舞は表現します。

眞子様がちゃんとした儀式をした上でお嫁に行けなかったのは、眞子様の相手に落ち度があったからじゃない。世間の声が痛烈だったから。だから、儀式もできないで、一時金も受け取れないような状況でお嫁に行かざるを得なかった。匿名の民衆って怖い。

SPなんか付けないでも、普通に電車に乗れる普通の人に生まれたことは、幸せなことなんだとしみじみ思う。


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