依存心

(01)諸々

フラメンコを始めて一番私を苦しめたのは、自分で気づいていなかった他者への依存心でした。
「みえちゃんはどうしたいの?」
「みえちゃんのやりたいことを言ってよ」
「僕たち(ギター、カンテ等のバックアーテイスト)はみえちゃんが言うようにやるし、
みえちゃんの希望を叶える為にいるんだよ」
と言われるのが何よりつらかった。

なぜなら私は空っぽだったから。

バックアーテイストに何か良いアイディアを出してもらい、
「こうしたらいいよ。こうやってみなよ」
と勝手にカッコいい音楽の流れを作ってもらったら、
それに合った振付をする為、最大限の努力をする自信はあったけれど、
バイレフラメンコの場合は逆で、まずはバイレが、
「こういうのをやりたいの」
と言わねばならない。
でも私には、それを言う自信は全くなかった。
ましてや、バックアーテイストに、
「そうじゃない。私がやりたいことはそれじゃない。
もっとこういう感じに演奏して(歌って)」
とリクエストすることは恐怖以外の何物でもなかった。

バイレフラメンコ(ソロ)においてバイレは指揮者だと言われています。
指揮者が何をするか意見がなく、演者を導くことをせず、
全てを他者に委ねてしまったらバイレフラメンコは成り立たない。
従順なことはフラメンコでは美徳ではない。
むしろ、自己主張できることが望まれる。

私はバックアーテイストをいらつかせるバイレでした。

人に寄り掛かること許されず、自分で立つことを望まれるバイレフラメンコのソロを踊り始めたことで、
己の依存心の強さが炙り出さ、そこから私の自分との闘いが始まりまったのでした。

(つづく)

「助けて」と叫んでもその声は誰にも届かない。それに気付いてやっと、自分の足で立ちあがることを覚えた。


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