舞踊団公演への軌跡⓵舞踊団員に求められるもの

(01)諸々

「公演が出来上がるまでの様子をYoutubeで公開したら?」
とある方からアドバイスをもらったのですが、Youtuber的なのはあまり得意ではないので、ブログで少しずつご紹介していこうと思います。
しゃべるより文章を書く方がいい。

作っては壊し、作っては壊しの繰り返し。

1つの演目の中で、いくつもの振付を作り、それらが同時進行します。
複数の振付を重ね合わせた時に、お互いが活かし合っているか、お互いを潰し合ってないか。
その作業は気が遠くなるほどに時間がかかります。
でも、すごく楽しいところ。

これ(↑)は未だ下敷きの段階。
ここから更に削り、磨いていきます。

真理は色々なものを付け加えたところにあるのではなく、削ぎ落したところにある。

群舞でいっぱい動かすフォーメーションをすると、作る方も踊る方も、やった感がある。
ソロで難しい振付を踊って、青色吐息な筈なのに、本人だけは充実感でいっぱい!みたいなのと似ている。
でも、見てる方としては、「いっぱい動いててすごいね!」位の印象しか残らない。
じっくり踊りを見たというよりは、動きを見たって感じ。
かと言って、あまりにも動かないのは発表会みたいだし、塩梅が難しい。

ただ、「動きゃいいってもんじゃないな」ってのが今の私の課題。
動きは最小限に、でもつまらなくならない程度に。

仏教でいうところの中庸ですね。
過ぎたるは猶及ばざるが如し。

正解がないものって難しい。

私はずっと死ぬまで失敗し続けるんだと思う。

それは、「どうしようか」と試行錯誤する楽しみが一生続くってこと。

なんて幸せ!

さて、振付やフォーメーションを作る作業ですが、生徒だけが踊る振付は、私が外から客観的に見て良くないところはその場でドンドン変えていけるのですが、自分も一緒に踊る振付の場合、いくら鏡を見て確認しながら踊ってるとは言え、自分のことを踊りながら客観的に見るのは限界があります。
なので、動画に撮って、後で見て確認し、振りや踊り方を変えていきます。

この動画の二人が並んで同じ踊りをする箇所、気に入らない。
ダメだ。
つまんな過ぎ。
これは変えなきゃ。
また作り直しです。

『変更になった動作や振付を、言われたら言われたまんまに、すぐに踊り手は踊る』というのが、舞踊団の要件です。
それが発表会との違い。
なぜなら、演出家は振付なりフォーメーションしたものを実際に目で見て、それをドンドン手直ししていくからです。

踊り手は、『演出家に、踊って見せる』というのが何より求められます。
振り付けたばかり、フォーメーションをしたばかりで完璧にできるとは演出家も思ってません。
だから、とりあえずの形を見せるだけでいいんです。
それで良くなければドンドン変えていく段階なので、その段階で完璧に覚える必要はない。
なので、踊り手は、「あーなんですか?」「こうなんですか?」と質問したり、言葉での説明を求めるより、考え過ぎて立ち止まることなく、まずは踊って見せないとなりません。
これ、ものすごく大事。
なぜなら、演出家に言われて、踊り手が見せるまでに時間がかかっては、演出家の頭の中に閃いたアイディアも露と消えてしまうからです。
「質問する」「説明を求める」「完璧に踊る」
それが大事なことは分かるのですが、タイミングを見計らうのはもっと大事です。
理解できてないところは、諸々が決まった後で細かく詰めていける筈です。
素早く覚えた一緒に踊る人たちに教えてもらうこともできます。
踊り手のペースで演出家が作る流れの腰を折ってはなりません。
良い作品が作れなくなってしまいます。
それに、「理解できてないんだな」ってのは演出家は質問されないでも、踊って見せてくれれば分かります。
そうしたら、「〇〇はこうして」って演出家から踊り手に言う筈です。

『とりあえず、踊ってみせる』
それが舞踊団公演に出る人たちの要件。

「覚えるのに時間がかかって、ぱっぱとはできないんです」
という人がいるのも分かります。
でも、舞踊団公演の場合、集団で作る流れを少数の理解してない人の為に止めることはできません。
質が多少下がろうとも、発表会は下の子も救い上げるところですが、舞踊団公演は下の子に合わせて質を下げるということはできません。

なので、まだそれが難しい段階は、発表会で修行を積んだらいいと思います。
発表会は中長期の時間をかけ、レッスン内で理解できるまで教わり、それを形にし、舞台に上げれます。

もしくは、タブラオでソロで踊るのもいいかと思います。
ソロは、自分のペースで1曲を仕上げられます。

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あまり音声を拾ってないから聞こえるかな?
この動画の最後の方、踊ってたら閃き、私が、「相手のバタを取る」「引っ張る」「向こうに行く」と一緒に踊ってる生徒に言ってるのが聞こえますか?
この生徒は、それまで何も指示されてません。
突如、この場で言われました。
で、すぐさま、「相手のバタを取る」と言われ、私のバタを取り、「引っ張る」と言われるままに引っ張り、「向こうに行く」と私が言ったのは、もっと向こうに行って、もっと引っ張って欲しかったからなのですが、そこまでは伝わらずに、向こうの方に顔を向けました。
突如言われたからアタフタもしているし、私の想ったように動けてないところもありますが、それでいいんです。
この生徒さんはとても機転が利きます。
私だって、振りを作りながら踊ってるから、踊りに集中してないでスカスカの踊りしてるんだから。
それでも、その様子を私は鏡で見て、
「うん。このポーズは綺麗だ。さて、この後、どう展開しよう」
って天からの声を拾うことに集中できるようになります。
なので、天からの声を拾ってる最中に、
「これ、向こうに引っ張るって意味なんですか?右手でいいんですか?」
とか質問されると集中力を削がれてしまって、天からの声を拾えなくなっちゃうんですね。
分かるかなぁ、この感覚。
振りやフォーメーションに限らず、何かを自分で生み出す人なら誰もが持つ感覚なんじゃないかと思うのですが。

彼女がやったみたいに、あたふたしながらも、とりあえず動くっての、これ舞踊団公演とかに求められる要件です。

とは言いながら、最初はできなくても、やってくうちに慣れます(*^-^*)

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