ヒント

(01)諸々

私や私の生徒さんたちは、フラメンコの踊りを精進させるべく
日々稽古に励んでいるのですが、
『フラメンコを上達させたい』
と思ったら、そりゃ、フラメンコに触れるというのは大事ですが、
『舞台で踊る』
と思ったら、フラメンコ以外からも見倣えるものは沢山あると思います。

それも、劇場に足を運ぶとか、わざわざ何かをしないでも、
日常の中で盗めるものは沢山ある。

ひょんなことから、この動画を目にしました。

「ああ、やっぱりSMAPはスターなんだな~」と思いました。

ほら、私、別にSMAPのファンでもなければ、
ジャニーズのファンでもないので、
彼らに対して、目がハートってことはないのですが、
芸の世界でトップに君臨したことのある人たちということで、
やはり尊敬に値する部分があると思ってます。

この動画、のっけからすごいなって思いました。

この動画の最初は、5人がただ歩いているだけです。
ピト(指パッチ)もしてません。
踊ってもいません。

ただ歩いているだけ。

このただ歩いているだけなのに、すごくない?

歩きの技術がすごいって言ってるんじゃないんですよ。
もちろん、それもあるけど。
技術なかったら、足元を見ないで階段を降りるなんてことできないしね。

普通の兄ちゃんたちが、ただ歩いている風に見せて、
でも、こんな風に一般道を歩いている人って、
そうそういないわよね。

さりげないのに、
普通のことをしてるようにしか見えないのに、
その辺の普通の人だったらこうは歩けない
って感じで歩けているのがすごいんです

上手い人って、舞台の上でその人だけ見ると、
その人が上手いということを忘れます。
それだけ上手さが自然なんです。
自然過ぎて、上手さに気付けない。

ただ、その横に、フツーの人、上手くない人を立たせると、
「ああ、あの人、上手いんだな」
って比較できるので気付けます。

そして、この動画では中居くんがセンターにいますが、
センターにいない4人も、
それも両端の吾郎ちゃんと香取君の2人も、
まるで自分もセンターにいるように振る舞ってますよね。

センターじゃないから手を抜くってこともしてないし、
センターじゃないから振りを覚えてないってこともなく、
センターの人を横目で見ながら適当に合わせてるみたいなこともしてないし、
要は、5人が皆、誠実に取り組んでいる。
自分のお客さん(ファン)は、自分が端っこにいても、
自分を見ていてくれると分かっている。
センターにいなくても、
お客さんは輝いている人のことを見るということを知っている。

それに、これって、カットなしよね。
ということは、5人のうち1人でも振りを間違えたりしたら、
最初からやり直ししたわよね、きっと。
もう何度もやり直しして、集中力も切れかけ、
体力も限界だった中での撮影だったかもしれない。
『連帯責任』という緊張感もあったでしょう。
そんな中での完璧な演技。
ブラボー。

ある一定レベルまでスキルを身につけた人たちが、
それに甘んじることなく、
この作品を良いものにすべく練習し、努力したのが伺えます。
その上で、各自の個性で演じています。
努力しない、振りを忘れる、消化試合のようなことをする、
でも、そのいい加減さを『個性』と誤魔化す…みたいな不誠実なことはしない。

トップアイドルとして君臨し続けていたことは、
それはそれは重いものを双肩に背負っていたと思いますが、
そんなものを感じさせず、
むしろ、それを自信とオーラに変えて
さりげなく粋に歩く姿は、
舞台で歩くことのある私たち踊り手の良い見本になると思いました。
変な発言しようと、おかしな行動を取ろうと、
この人たちが芸を磨くべく頑張ったことは帳消しにはならない。

生徒さんたちへ、
一曲を通して踊る際、
振付がなく、
ただ歩くだけのところがあるかと思います。
でも、そこを、
本当にただの繋ぎで歩くだけと思わず、
その姿もお客さんには見られているのだと
意識してみてください。


余談ですが、歌がロコモーションってのもいいですね。
You gotta swing your hips, now
さあ、腰を振って(踊ろう)
って歌ってる。
やっぱり、西洋文化とダンスは腰を振ることは切り離せない!

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