舞踊団公演「落花流水」生徒とゲストのブレリア
生徒のドミンゴとゲストのノブのブレリアです。
2015年にうちの教室に入会し、
フラメンコを始めたドミンゴですが、
この公演をもって卒業となりました。
独立をし、
これからはプロとして活動していくとのことです。
多くの教室がそうであるように、
生徒が外部の舞台に出演する際は、
先生の許可が必要となります。
まだ独り立ちできない生徒が舞台で踊るには
先生の仕込みがなければできません。
生徒の外部出演を先生が許可するというのは、
「先生が責任もって、生徒が舞台に上がれるまで仕込みます」
ということを意味します。
うちの教室も例に漏れず、そのようにしています。
ところが、彼は男性の踊り手ということもあり、
外部の舞台からのお誘いも多く、
私が把握できないものも増え、
また、責任の範疇を超えることが多くなってきていました。
責任を負えないものにまで、私は許可を出せません。
けれども、それは彼の活動の機会を奪うことになります。
本人は外での活動を希望していました。
私も、「せっかく声を掛けてくれる人がいるならば…」と思っていました。
二人で話し合い、
「それならば」
ということで、卒業となりました。
話を舞台の方に戻します。
中大兄皇子と大海人皇子、
後の天智天皇、天武天皇。
日本の教育を受けた人であれば、
この二人が何をしたかは忘れていたとしても、
名前は聞いたことがあるかと思います。
万葉歌人の中でもとりわけ名高い額田王を兄弟間で奪い合い、
後の壬申の乱の遠因になったと言われています。
その中大兄皇子をドミンゴが
大海人皇子を暢が演じました。
構想段階では、中大兄皇子はプロのゲストに頼むか、
または、男性のカンテさんに頼もうかと考えておりました。
演出等を色々と考え、
ほぼ男性のカンテにしようと私の中では決まっておりました。
でも、結局、中大兄皇子はドミンゴに任せることにしました。
ドミンゴがこの公演をもって卒業することは
公演の前から二人で話し合いをし、決まっていました。
生徒さんたちにとってフラメンコは
趣味のお稽古事なので
気軽に始め、気軽に辞めて行く人は多いです。
そんなものです。
でも、そんな中、好きな気持ちを持ち続け、
地道に稽古に励み、舞台に上げ、
少しずつ形にしていく生徒たちがいます。
形にならずに辞めて行く生徒たちが殆どの中、
生徒たちが成長し、舞台で踊る姿を見ることは
先生にとっての喜びです。
ドミンゴも、その中の一人です。
なので、去り行く生徒の勇姿を最後に見ることができたこと、
それは、先生にとって価値あることでした。
最後に、中大兄皇子を彼に任せて、良かったと思っております。
良くぞ、あの大役を務め上げました。
ドミンゴは、
最初は、代教さんのセビジャーナスのクラスから始めました。
その後、私のクラスに進級してきました。
その時の彼の言ったことが、
「先生に叱られたいです!」
でした。
こんな感じの子なので、
随分と叱ったことはあります。
でも、叱った数より、「ありがとう」と言った数の方が多いと思います。
彼は、私や教室にかなりの貢献をしてくれました。
私が彼を叱ることは、もうありません。
独り立ちし、プロとして、外の世界で活動するというのは、
そういうことです。
責任は全て自分で負うことを意味します。
元先生のできることは、応援することしかありません。
ドミンゴならできると思っています。
今後の活躍を陰ながら応援しています。
今まで、どうもありがとうございました。
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